【スイッチボックス用水平器開発秘話】
「電気工事士の必須工具をKUROKINらしく作る」そのシンプルな目標から開発がスタートしました

KUROKINのスイッチボックス用水平器は、ユーザーの声に応えるかたちで2023年から開発がスタートし、紆余曲折を経て2025年6月にはついに量産体制が整いました。
しかしその量産の直前に、想定外の問題が発生してしまいます。

形状、使いやすさ、デザイン、そしてKUROKINの世界観。譲れない条件が揃う中で、開発チームが選んだ解決策とは…

2025年11月発売のKUROKIN「スイッチボックス用水平器」にまつわる知られざる開発ストーリーをご紹介します

 

なぜこの水平器を作ろうと思ったのでしょうか?


きっかけは、KUROKINメンバー登録時のアンケートです。
「欲しいアイテムは何ですか?」という項目で、水平器が常に上位に入っていたんです。

ユーザーの声が背中を押したわけですね。


そうですね。
KUROKINは「電気工事士の腰道具をすべて揃える」ブランド。その中で水平器は、電気工事士なら必ず持っている必須工具ですよね。なので優先順位を上げて開発に着手しました。

 

すでに150mmや100mm、200mmを出していますよね。それでも“スイッチボックス用”を?


電気工事の現場では、実は専用サイズを持っている人が多いんです。
コンセント開口は“埋め込みコンセント”の寸法に合わせて切り抜く必要があって、その位置出しに使うのが、スイッチボックス用水平器なんですね。
電気工事士なら、ほぼ皆さん持っておられると言ってもいい工具ではないでしょうか。

 


KUROKINメンバーさんのアンケートで常に要望の多かった水平器

 

一般的なスイッチボックス用は透明タイプが多いですよね。


そうですね。壁にかかれた十字の中心線を水平器に合わせる為に一般的なスイッチボックス用水平器は透明タイプが主流です。
一方で、KUROKINとして表現したかったのは金属の存在感。

透かして見てもらえるように金属の枠を作って内側を樹脂にしたり試作を繰り返していましたが、実際に毎日のように水平器を使われているユーザーさんが「真ん中さえ分かったらいいんだけど」と言ってくださって。
そこから発想を転換し、構造をオールアルミへ変更しました。

ここでもユーザーさんのご意見がいきたんですね。


そうなんです。樹脂製の場合、落下時に角が欠けてけがき線に引っかかるというご意見もあったため、耐久性と質感を兼ね備えたアルミ構造を採用しました。結果としてKUROKINらしい存在感のある仕上がりになりました。

形状も独特ですね。


従来の水平器は四角いブロック形状が多いですが、壁に押し付けてけがくときに指が邪魔になるという声がありました。
そこで、「つまめる形状」を設計しました。
落としにくく、押し当てやすい。このコンセプトは最初から変えていません。

細部もかなり作り込まれていますね。


試作品は何度もプロの電工さんやKUROKINのモニターに協力してくださるユーザー様に試してもらいながら改良しました。

実際に使用する際に、押さえた手で気泡管が隠れてしまわないように位置を変更したりユーザー様から「太いペンも使いたい」というご意見をいただき、ケガキ穴の径を拡大。
さまざまな筆記具に対応できる仕様としました。

中心を合わせやすいよう十字のラインも追加して、この最終形にたどり着きました。

 


改良前は2本の気泡管が見えづらい。中心には十字ラインを追加することに。

 

気泡管の色はオレンジ。他では見ない色ですね。


一般的には黄緑が一番見やすいんです。
でもKUROKINは黒と金の世界観を大切にしています。その世界観を壊さない色がオレンジでした。これは特別に調色しています。
KUROKINシリーズのファンだと言ってご購入いただいたり、KUROKINでテンションが上がるからと職場で毎日のように使ってくださるお客様のことを考え、ブランドの方向性を大切にした選択をしています。

 

そして最後に想定外のトラブルが!

開発は順調でしたか?


実は、量産直前で大きな問題が起きました。
KUROKINの象徴である黒金メッキが、中心のくぼみ部分でまだらになってしまったんです。汚れているように見えますよね。

それは致命的ですね。


今までの水平器では起きなかった不良でした。
「つまみやすく押し当てて使いやすい」この形状特有の問題だったんです。
形を変えるなら金型からやり直し。でも、すでに量産への工程は進んでいましたし…。

 


中央のくぼんだ面が汚れているようにみえる

 

どう解決したのですか?


生産の体制を根本から変えれば時間もコストもかかる。シールを貼って隠す案なども出ましたが、それではKUROKINらしくない。開発チームで悩みましたが、レーザーで焼き落とせばいいんじゃないかという案が出ました。

もともと、メッキ後に十字ラインをレーザーで入れる予定でしたが、くぼみ部分の全面をレーザーで焼き落としてみようとなったんです。

見た目は変わりませんでしたか?


レーザーを当てると白っぽくなるので見た目がかわってしまいます。最初は不安でした。でも結果的に凹んだ部分が明るくなり、後から焼き入れる十字がより見やすくなることがわかったんです。まさに災い転じて福となす、ですね。

最後のトラブルが、改良につながったわけですね。


そうですね。
弊社は創業100年を超えましたがその歩みを支えてきたのが、確かな技術を持つ工具職人である我々だと自負しています。
今回の課題も、最終的に“加工で解決する”という答えにたどり着きました。
それが、フジ矢らしさであり、KUROKINのものづくりなんだと思います。

今回の開発では様々な問題を解決してユーザー様に愛されるKUROKIN製品がまたひとつ完成したのではないかと感じています。