【Light PU Leatherシリーズ誕生秘話・前編】
「軽量」「質感」「耐久性」の全てを兼ね備えた腰袋はどのようにして生まれた?!

202212月にKUROKINから新たに登場した新製品「Light PU Leatherシリーズ」
驚くほどの軽さと高い質感、優れた耐久性を併せ持つ腰袋とホルダーのシリーズは、約2年の歳月をかけて試行錯誤の末に誕生しました。
製品開発にかける想いや開発の裏話について、マーケティング部の太田に語ってもらいました。

 

「腰袋が重い」職人が抱える悩みを解決すべく、製品開発がスタート

ーLight PU Leatherシリーズを開発することになったきっかけは?

太田

フジ矢では、ユーザーである職人さんと直接お話をしてその声を製品開発に活かしているのですが、以前から会話の中で「腰回りが重い」という悩みを聞いていました。
一般的な革製の腰袋の場合、ペンチやハンマーなどを入れると重い人だと10kg程度とかなりの重さになるようです。
それだけの重さを腰につけて、立ったり座ったり脚立に登ったりする作業を毎日されるとなると、体に相当負担がかかります。
特に年配の職人さんになると腰回りが重いと大変ですよね。

もちろん、軽い製品もあることにはあるのです。
ただ、耐久性に乏しく、生地も薄くて質感がイマイチなものが多い。
そこで、軽くて丈夫で、それでいて高い質感で所有する満足感のある腰袋を作りたいと考えたことがきっかけです。

ーどのように開発を進めていったのですか?

太田

軽いけれど質感も良い生地を探すところからスタートしました。
情報収集したり生地メーカーを訪れたり協力メーカーに相談したりと、かなりの時間をかけて探しに探しました。
そしてある時ふと「ランドセルの生地を使えないか」と思いついたんです。

私の時代のランドセルは非常に重かったのですが、今はかなり軽量化されていますし、質感にも高級感がありますよね。
これぞ求めていた生地だと思いました。
そこで、ランドセルと同じ「PUレザー」という人工皮革の生地を扱えるメーカーに相談して、サンプルを作ってみました。

デザイナーの太田 

フジ矢の腰袋史上最高の耐久性を実現するために、試行錯誤の繰り返し

ー試作品の出来はいかがでしたか?

太田

最初はナイロン製と同じような作り方で試作してみたのですが、立体感を出すことができず、質感は良いのに安っぽくなってしまいました。
強度も足りませんでしたね。
縫い合わせた生地をリベットという金具で留めて強度を出そうとしたのですが、機械で耐久試験を行うとすぐに破壊されてしまうことが分かりました。

ー耐久試験を行ったのですか?

太田

そうなんです。
もともと工具の品質を管理している品質保証部門と開発・生産技術のR&D(リサーチアンドデベロップメント)部門があり、耐久試験を行う機械も揃っています。
例えば、ペンチニッパのレバーをぎゅっと押して何キロで切断できるかを試験する機械などです。
そことマーケティング部門の私と3部門が一体になり、例えば「引っ張った時に何キロで破壊されるか?」などの破壊試験や耐久試験を実施しました。

ー試験結果はいかがでしたか?

太田

当初は低い数値で破壊されてしまい、他社製品や自社の他の製品と比べても強度がないことが分かりました。
これでは、職人さんが作業している最中に引っかけて破れてしまいます。
強度を出すために、メーカーや縫製工場も巻き込んで縫製の仕方や袋の形状、リベットの種類などに工夫を加えました。
そして品質保証部門で再度試験を行い、その結果をまたメーカーや縫製工場にフィードバックして改良を加える、と何度も何度も試作を繰り返しました。


リベットには「KUROKIN」の刻印

 

妥協なきものづくりでユーザーの期待に応えたい

ーこれまで開発してきた腰袋とは、製造工程が違うのですね。

太田

PUレザーを扱うのが初めてでしたから、これまで通りにはいかなかったんです。
素材のノウハウがないため、試行錯誤しながら少しずつ完成形へ近づけていきました。

引っ張り試験の他にも、水に数日間浸けてからダメージや色落ちの度合いを革製品と比較してみたり、高温の車内に放置して型崩れを起こさないかをチェックしたり、鋭利なもので突き刺してみて何キロの力で破れるかを試してみたり(笑)、さまざまな方法で試験を行いましたね。

耐久テストの様子

ーそこまで耐久性にこだわった理由は?

太田

初めて扱う素材だったので慎重に開発を進めたかったということもありますが、何より軽さだけでなく所有したときの満足感にもこだわっていましたから、それに見合う耐久性がなければいけないと思いました。
折角お金を払ったのに、すぐに壊れたらユーザーさんが悲しむじゃないですか。
満足してもらいたい、という想いで開発を始めたので、軽さと質感、耐久性は妥協できなかったんです。
ユーザーさんには2ヶ月間のモニター利用もしてもらって、意見もたくさんいただきました。

 

職人の悩みを解決し、誇りを持って身につけられるものづくりを目指して進む「light PU Leatherシリーズ」の開発。
その後、ユーザーからはどんな反応が得られたのでしょうか。
後編へ続きます。

Light PU Leatherシリーズはこちらから

Light PU Leatherについてご意見やご要望がございましたら、下記お問い合わせよりぜひ教えてください!
お問い合わせ